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178.新たな退職ビジネス「退職給付金」の実態

最近、「退職給付金申請をサポートします」といったネット広告をよく見かけます。

退職代行サービスのような「退職ビジネス」の一環だと思っていましたが、広告の内容を見て驚きました。もちろん、正当なビジネスとして運営している事業者もありますが、国民生活センターからも注意喚起https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20251203_1.html)が出ていますので、サービスの利用には注意してください。

そもそも、「退職給付金」という名称の公的な給付金は存在しません。広告を見ると、どうやら健康保険の「傷病手当金」と雇用保険の「基本手当(失業手当)」を総称して「退職給付金」と呼んでいるということが分かりました。

更に広告では、「平均受給金額400万円から」とか、「最長28ヶ月受給可能」という根拠が不明な内容もあります。

傷病手当金とは、傷病によって働けない状態のときに支給される給付で、最長1年6ヶ月間(平均賃金30万円程度であれば最大350万円余り)支給されます。一方の基本手当は、働く意思と能力を有し、求職活動を行っていても職に就けない状態のときに支給されるもので、自己都合退職であれば一般的には90日分(平均賃金30万円程度で50万円余り)が支給されます。

確かに二つの手当を合計すれば400万円程度になりますが、二つの手当が支給される条件は全く正反対で、つまりは同時には支給されないということです。しかも、最初の1年6ヶ月は傷病によって働けない状態で傷病手当金を受給し、1年6ヶ月経過した時点で突如として傷病が回復し、働ける状態となり、基本手当を90日分受給するという絵にかいたような切り替えが必要です。そうでないと支給の空白期間が生じるからです。

平均受給額400万円というのはこのような理屈なのでしょうが、やはり違和感があります。一方で、28ヶ月間受給というのは更に違和感があります。上記の通り、傷病手当金は最長1年6ヶ月間で、基本手当は90日間ですので、合計21ヶ月間です。ところが、精神疾患などで障害認定を受けると、「就職困難者」として基本手当が300日に延長される仕組みがあります。基本手当が300日に延長されると確かに28ヶ月になりますが、その判断は医師の診断に基づきハローワークで行われます。

そういえば広告の中の説明に、「当社提携のクリニックで診察を受けていただきます」という記載もありました。提携クリニックで何が行われているのか非常に恐ろしいです。

傷病手当金は健康保険組合や協会けんぽに、基本手当はハローワークに聞けば無料で丁寧に教えてもらえます。また、退職前の会社の人事でも案内できます。もちろん、傷病によって問い合わせすることが難しい方もいるかと思いますが、それでもサービス会社を利用する際には十分に検討してからの方が良いでしょう。

先ごろ、元退職代行サービス会社社長に対して、東京地裁は弁護士法違反などで有罪判決を出しました。退職給付金申請に関しても、社労士法違反や詐欺罪に該当する事案が生じないことを願っています。

 

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