人事労務の「作法」

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176.社会保険労務士のコンサル業務について考える

8月23日に今年度の社会保険労務士試験が実施されます。暑い中、受験される方のご健闘をお祈りします。

ところで、過去の投稿にも記載しましたが、試験合格はゴールではなくスタート地点です。試験合格後、社労士として活動するには、社労士名簿に登録しなければなりません。その際、2年以上の労働社会保険諸法令の実務経験が必要です。

つまり、既に2年以上の実務経験があれば、社労士登録等一定の要件を満たせば、直ぐに顧客に向けて社労士業務を行うことができるわけです。しかし、2年間の実務経験だけで社労士業務を開始するのは、大変な覚悟がいると筆者は考えています。

社労士の業務は1号業務から3号業務までに区分されています。

1号業務は、労働社会保険諸法令に基づく届出書類の作成、提出代行です。2号業務は労働者名簿、賃金台帳などの帳簿書類の作成です。3号業務は労務管理等に関する相談業務で所謂コンサル業務です。

1号、2号業務は社労士の独占業務で、開業社労士でなければ顧客に対してその業務を行うことができません。開業間もない頃は、1号、2号業務が主となることが多いでしょう。一方、3号業務は社労士ではない他の士業、例えば税理士や中小企業診断士でも顧客に対して行うことができます。場合によっては士業でなくても可能なわけです。

現在の社労士を取り巻く環境としては、1号、2号業務はRPA化によって業務範囲は縮小傾向にあります。これからは3号業務で差別化を図ることが、社労士としての可能性を切り開くポイントだと筆者は考えています。

しかしながら3号業務といっても、労働法に基づいた労務管理手法の提供であれば、AIによって解決できる時代です。「労働者を採用したときにどのような労働条件を提示するか」ということ以前に、「そもそも今の経営環境を向上させるには労働者を採用すべきかどうか」を提案する必要があります。また、「頑張った社員に報いる評価制度を構築する」以前に、「どうすれば社員のエンゲージメントを高めて頑張る社員を増やせるのか」を提案すべきでしょう。企業経営を意識した労務管理、つまり「経営労務」の視点が必要になるのです。

経営労務の視点は、試験に合格しただけでは身に付きません。各都道府県の社労士会でも研修会は実施していますが、実務を通して習得する領域です。

ちなみに中小企業診断士には、中小企業大学校が主催する養成課程で、実際の企業に訪問ヒアリングして経営課題を把握し、改善策を提案するというプログラムがあります。社労士の主戦場である人材育成や組織開発に関わる部分にも踏み込んで提案を行うようです。

社労士試験は基本的には法律の試験ですが、今後コンサル業務が重要となる可能性を考慮すると、また、人事労務の専門家として他士業との差別化を図る上でも、試験とは別に人材育成、組織開発に関する実務講習を義務付けるなどの対策が必要だと考えています。

それ以上に、現在社労士業務を行っている人には、自己研鑽による更なる知識の習得が求められることは間違いないでしょう。

 

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