試用期間に関して前回の続きです。
前回は試用期間の長さ、試用期間の短縮や免除、試用期間の延長に関する部分の規定について説明しました。これらはいずれも、試用期間満了後、本採用する前提での規定です。
しかしながら、時には試用期間中あるいは試用期間満了後に本採用を取り消す必要がある場合もあります。その理由は、採用時に期待していた能力水準に達していないことが判明したとか、最悪の場合は、実績や経験が虚偽の申告であったというようなこともあります。このような事態に備え、試用期間中あるいは試用期間満了後に本採用を取り消しする具体的な事象を挙げて規定に盛り込んでおくことが重要です。
第〇条(採用取り消し)
試用期間中あるいは試用期間満了後、次の各号の事由のいずれかに該当し、会社が社員として不適格と判断した者については、採用を取消す場合がある。
①重大な経歴詐称が発覚したとき
②正当な理由なく指定した必要書類等を提出しないとき
③正当な理由なく遅刻・早退・欠勤等を繰り返し、出勤状況が不良のとき
④上司の指示に従わず、協調性に欠ける等勤務態度が不良のとき
⑤能力不足で、必要な教育を実施しても改善の見込みがないと判断したとき
⑥勤務に耐えられない健康状態であると判断したとき
⑦反社会的勢力との関わりがあることが判明したとき
⑧その他前各号に準ずる事由に該当するとき
2 入社後14日を経過した者については、第○条(解雇予告)の規定を適用する。
第1項①については「重大な」というのがポイントです。その経歴がなければ絶対に採用していないような経歴詐称です。例えば、ドライバーの採用に関して、実際には運転免許を保有していなかった場合とかです。
②についても同様に、ドライバーが運転免許証の提出を拒んでいるのでは経歴詐称を疑わざるを得ません。
③④⑤については、不都合な事象が見られたときはその都度注意をし、指導票を交付するなどして指導の記録を残しておくことが重要です。
⑥については主治医や産業医の意見を聞くことが必要です。
⑦については入社時の提出書類で触れた「誓約書」の一つの項目において、「反社会的勢力との関りがないこと」を誓約させておくことが前提です。
第2項については、労働基準法第21条により試用期間中であっても14日を超えて雇用すると、原則として30日以上前の解雇予告または平均賃金30日分以上の解雇予告手当の支払いが必要になります。詳しくは解雇予告の条で改めて説明します。