コロナ禍で急速に広まった在宅勤務制度ですが、最近では当初の目的からの変遷が見られます。
総務省の統計では、在宅勤務制度を導入している企業の割合がコロナ禍のピークからは下がっているものの、直近では50.1%と半数を超え、前の年よりも増えているという結果がありました。つまり、業種や職種にもよりますが、在宅勤務の制度としては維持しつつ、出社と在宅を組み合わせたハイブリッドな仕組みの中で、出社の頻度を増やしているパターンが多いのでしょう。
そのような中、今週は在宅勤務を利用した人が多かったのではないでしょうか。
今週、日本各地で起きている大きな地震や、25日(木)~26日(金)にかけての西日本への台風接近、更には26日(金)の朝のサッカーワールドカップのスウェーデン戦がその理由です。在宅でのサッカー観戦は業務時間とはなりませんが、地震や台風などの自然災害時に在宅勤務を利用できる仕組みを用意しておくことは非常に重要です。
ただし、制度を用意していても、いざというときに利用できないと会社の責任を問われる事象も起き得ます。
例えば今回のような台風時に、暴風雨や交通機関の運休等が見込まれる中、どうしても出社しなければならない理由が無いにもかかわらず出社を強要したり、在宅勤務の申請期限(前日までに申請とか)を過ぎているので認めなかったり、あるいは時差出勤や在宅勤務の積極活用などの注意喚起を会社が行わなかった場合で、実際に社員が転倒などの事故に遭遇すれば、会社が安全配慮義務違反を問われる可能性があります。
これは別に在宅勤務の制度がなくても同じことですが、制度があればなおさら事故を回避できる可能性が高かったとして、責任の程度が違ってきます。
コロナ禍での緊急対応から始まった在宅勤務は、移動時間の削減やワークライフバランスの向上といった生産性の向上に寄与する施策としての第1フェーズ、一方でコミュニケーション不足によるメンタル不調者の増加や、偶発的な対面での会話から生まれるイノベーションの欠如が不安視され出社頻度を増やした第2フェーズ、人材不足の折、新たな人材を確保し、人材の流出を防止する目的での福利厚生として姿を変えた第3フェーズへと推移しています。
そして今、混沌とした世界情勢の中で、自然災害にも頻繁に遭遇する日本においては、企業と労働者を守るための盾となるフェーズを迎えているのでしょう。