前回、再雇用社員の扱いの難しさについて言及しましたが、ちょうどネットニュースにも、「年下上司」と「年上部下」の関係性について記事が出ていました。特に大企業の場合、約3割の企業でこのような現象が起きているようです。
そもそも企業内において、年齢とマネジメント上の役職が逆転する要因としては、以下のような理由が考えられます。
①年上社員が定年を迎え、再雇用社員となったため役職から外れたケース
②年上社員が企業内での昇進を望まない「静かな退職」を実践し、年下社員が上位役職に就くケース
③成果主義の導入により、成果の大きい年下社員が成果の出ない年上社員よりも上位の役職に就くケース
④役職定年制の導入により、一定の年齢を超えると年上社員が役職から外れ年下社員にその役職を譲るケース
⑤親会社や取引金融機関から幹部社員として出向してくるケース(このケースは必ずしも年下上司になるとは限りませんが)
前回示したのは①のケースです。既に責任や権限が縮小するに伴い、年収も大幅に減っていますので、再雇用社員がそのことを割り切って自覚し、後進の相談役に徹すること等で解決するパターンです。
②も本人が昇進を望まない以上、年下上司の下で働くことも納得の上と考えられますので問題は起きないでしょう。①も②も年下上司が必要以上に気を遣うことはないケースです。
一方、③と④は制度上の問題で、やはり大企業に多いケースでしょう。
③は成果主義の下で働く以上は、年齢と役職が逆転することもあるということを理解し、結果的に逆転していることが誰が見ても納得できるような制度を構築することが必要です。
一番難しいのは④のケースで、過去の記事にも書きましたが、①とは違い定年に達する前に年齢によって役職を解かれる社員のモチベーションの維持が難しい問題です。役職定年制を導入しなくとも、成果主義の範囲で自然と新陳代謝が実現できる制度の方が良いと筆者は考えています。
⑤はその他の事象ですが、大企業よりも中小企業に多いケースです。受け入れ側が要求する条件に合致した人材が出向するケースは別として、一般的には親会社等の都合で出向する人材を人選します。受け入れる側としては「よそ者」扱いで、馴染むまで時間が掛かります。このような風習は止めるべきでしょう。
年下上司と年上部下の問題は、特に成果主義や役職定年制の制度下においては、経営層がその制度を存続させる根拠を示し、双方のモチベーションに配慮すべき経営上の課題だと考えられます。