人事労務の「作法」

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155.再雇用社員の扱いをプロスポーツの観点から考える

野球のWBCで盛り上がっていた中、少し気になる話題がありました。

開幕前に選手間で食事会を開催した際、一番年長の選手が飲食代全額を一人で負担したという話です。その選手よりもはるかに高額年俸の選手がいたにもかかわらず。どうやら野球界では、年功的な習慣が残っているようです。

一方、大相撲の世界は番付社会で、年長であろうと入門が先であろうと上位番付の力士が優遇されます。年長者が年下の力士の付け人を務めることもあります。日本の国技でありながら、完全な実力社会なのでしょう。

ところで企業においてはどうかというと、企業規模や企業風土によっても違いますが、筆者の経験上は役職に応じた社会になっているような気がします。

例えば忘年会などを開催する場合には、部長や課長などの管理職は会費を多く負担し、一般社員の負担は軽くするというのが標準的でしょう。段階を細かく分けすぎると、幹事が会費を徴収するのが面倒になるので、上級管理職、中間管理職、一般社員の3段階くらいでしょうか。

ここで悩ましいのが、元部長などの再雇用社員の扱いです。年収は大幅に下がっているので、管理職の区分としては気の毒であり、かといって年収が若手社員並みだからと言って一般社員の区分とすると元部長のプライドを傷つけることもあります。幹事を経験した人は思い当たるのではないでしょうか。

忘年会の会費に限らず、再雇用社員の扱いはお互いに苦労があるところです。再雇用社員は、ラインの管理職を外れた後もいつまでも現役のつもりで元部下に口出しすると煙たがられます。今は上司となった年下の元部下も、口出しされると面倒なので、なるべく関わらないようになります。

これではせっかく再雇用社員を有効活用しようにも上手く機能しません。再雇用社員は役割が変わったことを自覚し、マネジメントの場面からは退場し、また、AIやICTツールを駆使した作業も苦手になってくるでしょうから、若手社員の育成などの分野に特化するのが良いと思います。

再雇用社員は、野球でいえば監督の指示を選手に伝えるコーチの役割、大相撲であれば部屋付き親方の役割に徹することです。現役選手ではなく、それを支える側という意識を持った方が上手く機能します。それによって忘年会の会費問題はお互いに気を遣わずとも解消するでしょう。

ちなみに、社会保険労務士などの士業仲間の懇親会費用は、年齢や経験に関係なく皆同額負担です。お互いの専門性を尊重しているからこその扱いでしょう。

 

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