前回までで、賃金制度を構成する月例給与、賞与、退職金についての解説は終了しました。同時に、2023年11月から「人事制度の構築」というテーマで不定期に投稿し続けてきた、人事制度を構成する三つの要素である等級制度、評価制度、賃金制度についての筆者の一連の見解は今回でひと区切りとさせていただきます。
当初は最終的な着地点が明確でないまま書き始めましたが、徐々に一つの方向性が見えてきて、以降はその方向に沿った見解が示せるようになってきた気がします。
ただ、過去の投稿を読み返してみると、書き漏れていることも多々あります。これらの点については、今後個別のテーマで補足しようと考えています。
初期の投稿にも書きましたが、人事制度とは企業が経営目標を達成するために人材を管理する仕組みのことです。経営目標を達成するためには人材の育成が最重要課題であり、人事制度は人材育成に貢献する内容でなければなりません。
そして、人材育成のポイントは、「目指す人物像」を明確にすることです。その人物像に向けて必要な要件を具現化したものが人事制度となって表されるのです。つまり、目指す人物像に向けて到達段階を格付けしたのが等級制度であり、その等級の段階ごとに到達できている点、未達の点を明確にするのが評価制度で、それを処遇に紐づけるのが賃金制度です。
しかし、人事制度をこのように定義すると、組織が機能分化していない小規模企業の経営者のなかには、自社には人事制度など必要ではないと考える方はいないでしょうか?
一連の投稿で例示した各制度の内容は、ある程度の社員規模のある中小・中堅企業向けのものですが、小規模企業においても内容は簡素化したとしても、ぜひとも人事制度を構築すべきと考えます。
小規模企業においても、「優秀な人材が採用できない」、「採用した人材が定着しない」、「幹部となる人材が育たない」といった課題があるはずです。人事制度は人材育成を目的としますので、小規模企業こそ人事制度を構築すべきと考えます。社長の思い付きだけで評価や処遇が決まることがないようにしたいものです。
人事制度を構築することで、その企業が目指す人物像が明確になり、その人物像に向けて業務に取り組むことで、自分自身も企業も成長発展するというメッセージを社内外に発信することができるのです。