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149.人事制度の構築(38) 退職一時金制度の組み立て

前回、退職一時金と確定拠出年金を組み合わせる際のポイントについて説明しました。今回は、退職一時金制度の具体的な組み立て方について説明します。

近年の調査では、退職金の額が20年前に比べて500万円以上減額しているようです。また、大企業と中小企業では退職金の金額に大きな差があるのも事実です。例えば大卒勤続35年で定年を迎えた場合、大企業では2200万円程度に対し、中小企業では1200万円程度といった統計もあります。

ここでは、仮に大卒勤続35年で退職金金額1500万円と想定した場合の退職一時金制度について考えます。

まず、退職金制度全体の構成は退職一時金と確定拠出年金の二階建てであり、その比率は50対50とすれば、退職一時金のみでは750万円という額になります。

一人一人の金額を算出する方法の一つとして、「退職時の基本給×支給乗率」というものがありますが、役職定年制を導入している場合は、定年時の基本給は役職定年前の額よりも減額していて、退職金にも影響しますので避けた方が良いでしょう。役職定年直前での退職者が増えるかもしれません。

また、自己都合退職の場合、支給率を6割~8割程度に引き下げるパターンもありますが、定年まで勤続することを企業が推奨しているようにも受け取られるため、雇用の流動化を目指すにはこれも避けたいところです。

結論としては、退職一時金制度はできるだけシンプルにし、従業員が自分で積みあがった金額が計算できる仕組みが良いでしょう。定年まで波風立てずに勤め上げることが得策だと言わんばかりの、定年間際にカーブが急騰するような制度は今の時代にはマッチしません。目標金額に達したら、起業したりリスキリングで新たな分野に挑戦することを後押しできる制度としたいものです。

具体的には、勤続年数と社内等級に応じて毎年金額を積み上げていく方式です。下のグラフは、この二つの要素に対応する金額を仮設定して積み上げたものです。


勤続による額は、一定の年数以上勤務すれば金額が若干増えるようにしています。等級による額は過去に示した複線型人事制度において、管理職手前まで昇格したと仮定して各等級ごとの金額を設定しています。

退職一時金は右肩上がりの単純なカーブで、安心感と納得感を与えるものが良いと考えます。

 

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