前回、退職金制度の構成は、退職一時金と確定拠出型の退職年金「確定拠出年金(DC)」を組み合わせることを提案しました。今回は、二つの制度の組み合わせのポイントについて解説します。
先ず、退職年金部分を確定拠出年金とする理由は、退職年金が確定給付型「(確定給付年金(DB)」だと、運用環境悪化に伴う追加拠出のリスクを将来にわたって負い続けなければならないという企業側の事情があるからです。逆に従業員側から見ても、確定拠出年金の運用成果責任は負うことになるものの、中途退職が珍しくない現在においては、再就職先に持ち運び(ポータビリティ)ができる確定拠出年金は、特に若い世代から支持されています。
一方で、一定部分は退職一時金を残すことで、事前に確定した金額が一時金で支給される安心感を与えることができます。確定拠出年金は原則として60歳までは受け取りできませんが、退職一時金であれば退職時に受け取ることができるため、ローンの返済や脱サラしての開業資金に利用することもできます。
また、退職一時金には退職所得控除が適用され、例えば勤続30年であれば1500万円の退職所得控除が受けられるため、手取り額を増やすには有効な制度です。
次に、退職一時金と確定拠出年金の金額割合ですが、確定拠出年金は個人ごとの運用成果で受取額が変動しますのであくまでも一定の想定利回りを考慮した額での比較では、50対50をベースに退職一時金重視であれば70対30、確定拠出年金重視であれば30対70の範囲で、各企業の実情に合わせて決定することになるでしょう。
一般的には、従来退職一時金のみだった企業が確定拠出年金を導入する場合や、確定給付年金からの制度変更などに場合は退職一時金重視となるでしょう。また、新興企業などで初めて退職金制度を導入する場合などは、確定拠出年金重視でも良いでしょう。
どちらの場合も、そもそも退職金の総額をどの程度と考えるのかによっても組み立ては変わってきます。退職金を公的年金を補完する老後の生活支援と考えるのなら、相応の金額を確保する必要がありますが、賃金の後払いと考えれば、現役時代の賃金構成によって退職金の額は違ってきます。
前々回(145.人事制度の構築(35) 退職金も賃金の重要な一部です - 人事労務の「作法」)にも述べましたが、退職金も賃金の重要な一部ですので、月例給与や賞与だけでなく、各企業の考えをしっかりと反映した制度としましょう。