人事労務の「作法」

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146.労働時間規制緩和は実現するか

高市政権発足後掲げた「労働時間規制の緩和」の是非が議論になっています。そんな中、気になる記事を見つけました。

労働基準法32条では労働時間の上限を1日8時間、1週40時間と定めていますが、この時間を超えて労働させるには、同法36条による労使による協定(いわゆる36協定)を締結する必要があります。ところが、この協定を締結している企業の割合が49.7%に留まっているというものです。つまりは、この調査をそのまま受け取れば、約半数の企業は残業が発生していないということになります。

2018年の働き方改革関連法改正前は、36協定で「特別条項」を設ければ上限なしで残業が可能であったところ、法改正後は特別条項があっても月100時間未満、年720時間までとする制限が設けられました。この制限が「労働時間規制」であり、この規制を緩和するかどうかがテーマのはずです。もし、半数の企業が本当に残業が発生していないのなら、規制する必要も緩和する必要もないわけです。

どうやら、今、是非を議論されている労働時間規制の緩和は、人によって解釈が異なっているため、賛否両論出ているのでしょう。

もともと、高市総理が答弁で説明していた「収入を増やしたいのに規制があるため残業できない人がいる」という発言の趣旨は、働く意欲がある人の選択肢を広げるための「働きたい改革」だとされています。特別条項の制限を法改正前の状態に撤廃するような話ではないでしょう。ただ、例示した「収入を増やしたいのに残業できない」という現象は、パート労働者の年収の壁の制約のように聞こえるため真意が伝わり難くなっています。

一方、労働者側から見れば特別条項の制限を撤廃するような受け取り方をしているため、過労死を助長することにもなりかねず、使用者側の「働かせたい改革」だと批判されているのです。

過去の記事(142.年収の壁引き上げの次は労働時間規制緩和を期待します - 人事労務の「作法」)にも記載しましたが、日本企業の労働生産性を高めるため、それと国際的な競争力を確保するためには、労働者の意欲を活用しイノベーションを促進することが不可欠です。そのためには、労働者が自身の成長を願って意欲的に働くことができる仕組みづくりが必要だと考えます。その仕組みが用意できれば労働時間規制の問題は自ずと解決するような気がします。

 

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