人事労務の「作法」

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142.年収の壁引き上げの次は労働時間規制緩和を期待します

年収の壁が2026年から178万円に引き上げられることが決定しました。当初、自民党はやや慎重な姿勢でしたが、国民民主党の「手取りを増やす」という主張に押し切られた形となりました。

過去の記事(085.「年収の壁」は103万円だけではありません - 人事労務の「作法」)にも記載しましたが、年収の壁は何段階もあり、今回引き上げられたのは、従来103万円だった給与所得者本人が所得税を負担しなければならない基準のことです。2026年からは、年収178万円までは基礎控除と給与所得控除の合計で全額控除されてしまい、所得税の負担がなくなるという仕組みです。

今回の議論で注目されたのは、冒頭に記載した「手取りを増やす」ということです。例えば、年収600万円程度の人は、2025年の減税と合わせると、103万円当時に比べ約5.6万円の減税になります。(2025年は年収の壁が160万円に設定されています)

しかし、もう一つ注目すべきなのは、パート勤務などで働く専業主婦(主夫)等が、働き控えをすることなく178万円まで収入を得ても、配偶者の所得から配偶者控除が全額受けられるということです。

働き控えで思いつくのは、今年の流行語大賞にも選ばれた、高市総理の「働いて働いて・・・」という言葉です。この言葉の直後には世間の反発もありましたが、意図するところは、長時間労働を推奨するわけではなく、働きたい人が年収の壁の影響で働き控えをすることなく働ける環境を作るということにあるようです。これが本意なのか答弁用の説明なのかはわかりませんが、本意であれば年収の壁引き上げで少しは目的を達成したことになります。

しかしながら、日本のホワイトカラーの労働生産性が低いことは間違いなく、生産性を高めるには二つの方法しかありません。一つは時間当たりの効率を上げることであり、もう一つは単純に労働時間を増やすことです。

効率を上げる方法は、技術力の向上やその結果のAIの活用により今後ますます進化し続けるでしょう。ただし、技術力を向上させるための研究には時間が掛かります健康を害するような押し付けられた長時間労働は悪でしかありませんが、目的を持った労働は長時間でも意欲的に続けられるものです。

高市政権には、目的を明確にした労働時間規制緩和政策に取り組んでもらいたいと考えます。

 

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