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139.労働時間に関しては指導票が交付されます

前回まで、労働基準監督署の調査で是正勧告を受ける恐れがある事項について解説しました。総じて違法の認識がなくとも、勘違いによって法令違反となっている事項が多いでしょう。また、過去の調査では指摘されなかった点も、監督官が変われば違法を指摘される場合もあります。

一方で、法令違反ではないが改善が望ましい点について指導票が交付された場合は、その内容にもよりますが、放置せずに改善に向けて取り組みますという姿勢を示すことが重要です。

指導票が交付されやすい事項としては、労働時間に関することでしょう。

36協定で定めうる時間外労働時間の上限は1ヶ月につき45時間、1年につき360時間ですが、特別条項を設ければ、年6ヶ月まで、単月では100時間、複数月平均では80時間、年間720時間までの時間外労働が可能となります。

このような内容の36協定を締結している状態であっても、例えば1ヶ月45時間を超える時間外労働を行った労働者が存在した場合、適切な手順を踏んでいれば決して違法ではありませんが、「45時間を超える時間外労働が認められるため改善を要する」といった指導票が交付される場合があります。

これは単に労働時間の制限を定めた労働基準法の適否だけでなく、過労死や医師による面接指導について定めた労災保険法や労働安全衛生法との関連もあり、近年労働基準監督署が指導を強化している点です。

厚生労働省発行の「過重労働による健康障害を防ぐために」というパンフレット(001186387.pdf)にあるように、時間外・休日労働が1ヶ月45時間を超えると、健康障害のリスクが徐々に高まるという医学的検討結果を踏まえ、仮に45時間を超える時間外労働が可能な36協定を締結している場合でも、時間外労働が45時間以内となるように推奨しているものです。

それでも45時間を超える時間外・休日労働が発生し、健康への配慮が必要と認められた労働者については、医師による面接指導を行うことが望ましいとされています。

過労死の判断基準においては、拘束時間や連続勤務、出張の多寡、心理的負荷などの要素のうち、労働時間が最も客観的な要素となりますので、過労死を防止するため時間外労働については、法令違反でなくとも指導が強化されているのです。

 

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