労働基準監督署の調査が終了し、幸いにも指摘事項がなかった場合は、自信をもって今までの取り組みを継続しましょう。一方、指摘を受けた場合には改善が必要になります。
指摘事項には監督官名で「是正勧告書」もしくは「指導票」が交付されます。
是正勧告書とは、労働基準法などの法令違反があった場合に交付されるもので、違反の内容と改善の期日が記載されています。その期日までに改善結果を「是正報告書」に記載して報告する必要があります。なお、監督官が一般的に使用する是正勧告書には、「所定期日までに是正しない場合又は当該期日前であっても当該法違反を原因として労働災害が発生した場合には、事案の内容に応じ、送検手続きをとることがあります。」と記載されていることから、是正勧告を受けた場合は速やかに改善措置を講じることが賢明でしょう。
一方、指導票とは法令違反とまでは言えないものの、改善が望ましい事項について交付されるものです。指導票には是正勧告書に記載されている「送検云々」といった記載はありませんが、指導票で指摘された事項についても、放置せず是正報告書で改善の報告をすることが望ましいでしょう。
ところで、近年の労働環境において是正勧告書で法令違反を指摘されそうな事項を筆者なりに予想してみました。ただし、時間外労働が36協定の上限を超えた違法な長時間労働や、サービス残業による賃金不払いなどの悪質な事例は別として、きちんと対応しているつもりでも見落とされがちな事項です。
一つは昨今の賃上げ機運に乗り遅れないように賃上げを行ったものの、基本給をアップすると賞与や退職金にも影響するので、家族手当や住宅手当で賃上げを行った例はないでしょうか。
家族手当の場合、単に、扶養家族がいる人にいくら、いない人にはいくらとかでは家族手当の要件を満たしません。また、住宅手当も持家の人はいくら、借家の人はいくらとかでも同じように要件を満たしません。
このような中途半端な家族手当、住宅手当を支給している場合は、残業単価計算基礎から除くことはできず、これらの手当を含めて残業単価を計算しなければなりません。
意外とこのような手当の支給をしてしまって、残業単価の計算違いによる過少払いを指摘されるケースが多いような気がします。
他にもありますが、続きは次回記載します。