それは突然やってきます。所管の労働基準監督署から調査についての通知です。
準備する書類等を用意し、指定された日時にその書類等を持参して労働基準監督署に出頭を依頼してくる場合と、事業所に調査のため訪問する日時を通知してくる場合があります。人事担当者にとっては身構えてしまう瞬間ではないでしょうか。
稀に、予告なく突然、人事担当責任者に話を聞きたいと言って事業所に監督官が来社することもあります。しかし、責任者が不在の場合もあり、またどうしても外せない会議中ということもあるので、労災事故の調査などでない限り、突然の訪問に対しては、仮に責任者が在籍している場合でも理由を添えて丁重にお断りし、日時を調整して改めて来社してもらうのが良いでしょう。関係書類に基づいて話をすることになるので、準備する時間も必要だからです。
労働安全衛生関係の調査の場合、一般的に準備する書類等は以下のようなものです。
①労働者名簿
②出勤簿、タイムカード等労働時間の記録(直近6ヶ月程度)
③賃金台帳(直近6ヶ月程度)
④36協定等労使協定
⑤就業規則、賃金規程
⑥雇用契約書、労働条件通知書
⑦年次有給休暇管理簿
⑧健康診断個人票
⑨労働安全衛生委員会議事録
⑩その他指定する書類
現在では人事給与に関するシステムが導入されていることが多いでしょうから、労働者名簿、出勤簿、タイムカード、賃金台帳、年次有給休暇管理簿等は自動的に出力できる環境になっているでしょう。ただし、これらは人事給与システムに入って見てもらうのではなく、事前に紙に出力しておきましょう。
一方、紙で保管されていることが多い36協定等の労使協定類、雇用契約書、健康診断個人票、労働安全衛生委員会議事録等は漏れがないか確認の上、見やすいようにファイリングしておきます。
労働基準監督署に出頭する場合でも、監督官が事業所に訪問してくる場合でも、対面する監督官は2名程度が一般的です。一人が上司で事業所側に質問したり、部下にチェックする箇所を指示したりします。
事業所側も監督官の人数に合わせ、2名程度で対応するのが良いでしょう。企業規模にもよりますが、対応するのは人事課長などの実務を熟知した管理職と部下の担当者が適任です。監督官が事業所に訪問してくる場合には、人事担当役員等が挨拶だけして退席するのが良いでしょう。
次回以降、具体的な調査対応について記載します。