前回までにこのテーマで、賞与をモチベーションを喚起する目的でメリハリのある支給とすることを提案しました。(112.人事制度の構築(32)賞与はメリハリある支給を - 人事労務の「作法」 )その事業年度の業績のうちの一定部分を、個人の勤務成績に応じて分配するという考え方です。
ここで課題となるのは、賞与の支給時期と決算時期のズレです。
一般的に賞与は、夏(6月)と冬(12月)に支給されることが多いでしょう。一方で、決算時期は3月というケースが多く、ある年の3月決算の業績を見込んで前年12月賞与で社員の勤務成績に応じて分配するか、もしくは、3月決算の実績に応じて6月賞与で同様に分配するかです。
しかしながら、前者(12月に分配)の場合、3月決算の売上、営業利益等が確定しない段階で賞与原資としてどの程度の金額が確保できるかは予測での支給となるため、その事業年度の業績に応じた分配という意味合いは薄れます。どうしても安全を見て、低めに見積もることになるでしょう。
一方で後者(6月に分配)の場合、3月決算の数字は確定しているでしょうが、既に次の事業年度に入っていますので、6月支給の賞与は会計上次の年度の経費となります。3月決算では利益が大きかったからと言って6月に賞与を多く支給すると、次の年度の決算に影響する場合があります。
これらの課題を解消する策としては、一つは、6月、12月の他、3月に決算賞与を支給するという方法はよく利用されています。ただ、3月の決算賞与は6月と12月に支給した賞与の合計以上に支給できるほどの業績であった場合に限られ、金額もモチベーションを喚起するほど大きくはならないでしょう。
もう一つの方法としては、賞与の支給時期を9月と3月に変更することです。9月の中間決算の業績に応じて会社全体の賞与の支給総額を算出し、それを個人の勤務成績に応じて分配し、同様に3月の本決算の業績に応じて分配すれば、会計上もその事業年度の経費として認識されます。支給総額の算定は営業利益の何パーセントといった基準を設けておけば、会社業績にダイレクトに連動する仕組みとなります。
ただし、日本企業の慣習として夏冬の賞与支給が定着していますので、支給時期の変更にあたっては労働組合側との丁寧な協議が必要になることは確かです。