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119.「静かな退職」を放置しないで

「静かな退職」という現象が広がっています。

静かな退職とは、実際に退職するわけではなく、仕事に対する意欲を失った状態で、必要最低限の業務のみこなす働き方のことを言います。この考え方は、数年前にアメリカで生まれた「Quiet Quitting」という言葉が若者を中心に広まり、支持されるようになったものです。

しかし、ある調査によると、静かな退職をしていると答えた人が20代の若者だけでなく、30代から50代のすべての年代において4割を超えているというのは驚きです。

ところで、静かな退職という働き方を選択することになった経緯を考えると、どうやら二つのパターンがあるように思います。

一つは、プライベートを優先するため仕事はあくまでも収入を得る手段と考え、キャリアアップを望まないケース。あるいは、副業などほかに興味があることに取り組みたいため、本業にはやりがいを求めていないケースです。

二つ目は、意にそぐわない異動などで仕事にやりがいを感じられず、意欲が低下しているケース。あるいは、どんなに頑張っても評価に差が出ず、報われないと感じているケースです。

一つ目のパターンについては、最近の若者に多い考え方です。管理職に就任することを拒むのも同じような考えからでしょう。一方、二つ目のパターンについては、どちらかと言えば中堅~ベテラン層に多いでしょう。

静かな退職について色々な意見がありますが、特徴的なのは、必ずしも静かな退職を否定的に捉えているものだけではありません。働き方が多様化する現在、最低限の業務を文句を言わずにこなしてくれればそれで十分という考えもあります。また、単純作業など、他の人があまりやりたがらない業務を引き受けてくれる社員も必要だという会社もあるでしょう。

ただし、これらの静かな退職についての肯定的な意見は、上の一つ目のパターンについては成り立ちますが、二つ目のパターンは事情が違います。

二つ目のパターンでは、やりがいのある仕事を求め、成果を出した際には称賛され、更にやりがいのある仕事を求めるという能力開発のサイクルが中断しているわけです。これは人事制度や管理職のマネジメントで改善するべきものです。

静かな退職を放置するのではなく、それを選択した経緯を分析し、改善することで「静かな退職」から「積極的な貢献」へと変換できる場合もあります。

 

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