フレックスタイム制や在宅勤務の浸透により、働く時間や場所が柔軟になり、社員の休憩時間の管理が難しくなる場合があります。
休憩時間については、労働基準法第34条で、①労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上与えること、②労働時間の途中に与えること、③一斉に与えること、④自由に利用させること、が定められています。
一昔前の全員出社が前提の働き方では、上記③について、金融業や飲食業などの一斉付与の例外に該当する業種を除いては、昼の12時から13時頃までを昼休みとして規定しておけば、法律の要件は満たしていました。
ところが、フレックスタイム制、その中でも特にコアタイムを設けない所謂「スーパーフレックスタイム制」の場合、始業・終業時刻と、その日に何時間働くかは労働者の裁量に委ねられていますので、一斉付与の適用除外を労使協定で定めたとしても、休憩時間を取る時間帯を労働者自身が適切に管理しなければなりません。
また、在宅勤務では、勤務中に業務以外の私用時間が混在する場合もあり、それらを休憩時間としてカウントし、合計で必要な休憩時間となるように管理する必要があります。或いは、管理者の目が行き届かないことから、業務に集中し過ぎて休憩時間を取り忘れることもありがちです。
ある調査では、心身の健康上の問題で生産性が下がる割合を休憩時間との関係で調べたところ、61分以上休憩している人が生産性が下がると答えたのは15%に対し、45分未満の休憩では27%程度、休憩はしないと答えた人では30%と倍増します。
一昔前のホワイトカラー労働者の昼休みの光景を思い出すと、12時のベルと同時にオフィスを飛び出し、近所の人気のお店に行列を作って昼食を食べ、食べ終わってオフィスに戻る頃には昼休み時間も終了間近というものでした。
今は働く時間や場所が柔軟になり、混雑する時間を避けてゆっくりとランチを楽しむ余裕が生まれました。単にエネルギー補給のためだけでなく、煮詰まった思考回路を解きほぐし、新しい発想を生み出すのに有効な時間となります。
元々は工場労働者の肉体的疲労を解消するための休憩時間の規定ですが、現在の労働者も法の要件を遵守したうえで、生産性を向上させるために有効に活用しましょう。