人事労務の「作法」

企業の人事労務課題を使用者側の立場で解決します

107.新入社員定着のカギはチューターとメンターにあり

世間では新入社員研修が終了し、新人が各部署に配属されて一段落といったところではないでしょうか。

この時期の人事の心配事としては、新人が配属先に定着して順調に成長してくれるかということです。さすがに一通りの研修を受講し、その会社で頑張っていこうと考えている人達だと信じていますので、早く配属先の部署の業務に慣れて、戦力となってもらいたいと考えています。

新人が業務に慣れるうえでの一番の壁は、わからないことをどのように解決するかということです。新人には、わからないことがあれば周りの人に何でも聞くように言っておいても、周りの人が忙しそうにしていると、なかなか声をかけづらいものです。そこで、新人の定着や育成をサポートする目的で、チューター(あるいはメンター)と呼ばれる先輩社員を指名しておくのが良いでしょう。

チューターは、OJTで具体的な業務やルールを教える専属の教育係のことを言います。組織規模や組織の体制にもよりますが、同じ部署で新人の担当する業務を理解した3~5年先輩の社員が適任でしょう。今は何もわからない新人も、3~5年後にはチューターのような知識経験を身に付けた社員に成長するのだという一つの目標になります。

若手社員が転職するかどうかの判断基準は、自身が成長できる組織かどうかにありますので、実際に身近で指導してくれる先輩社員の姿は、新人の定着率を大きく左右します。

一方、メンターとは具体的な業務を教えるチューターと違い、職場やプライベートな悩みの相談に乗るのが主な役割です。メンターは同じ部署である必要はなく、また、1対1の関係でなくても構いません。チューターよりも経験豊富な中堅社員クラスが良いでしょう。メンターは自身の経験を押し付けるのではなく、傾聴力と共感力が求められます。

チューターにしろメンターにしろ、その存在として共通するのは、会社は新人に対して自社の戦力として定着し、成長して欲しいと願っているというメッセージを与えることにあります。ただし、甘やかされていると受け取られないよう、「自立」と「自律」を促す指導を、チューターやメンターに期待しています。

 

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