新聞の第1面に気になる記事を見つけました。
人事業務の領域に人工知能(AI)を導入する動きが広がっているとのことです。
従来より人事業務のうち、定型的な事務作業については、RPA(Robotic Process Automation)によって自動化、効率化が進んでおり、近い将来人の手を介さずとも完結する業務が増えることが予測されています。
例えば、勤怠管理や給与計算などのデータを集計し反映させる業務、社会保険に係る申請から届け出に関わる業務、採用に係る書類選考、面接スケジュール調整等業務、人事評価に用いる実績等の集計業務などが代表的です。目的に合わせたデータの収集と活用に強みを発揮するのがRPAです。
しかし今回のAI化は、RPAによるデータの収集だけでなく、そのデータを分析し判断するところまで進化しています。
紹介されていたのは、コールセンターで働くオペレーターの通話記録から、顧客の課題解決につながったかどうかの顧客の満足度を測り、人事評価に利用するというものです。従来の上司による評価では、どうしても主観が入り込む余地があるため、AIによる公正な評価で社員の納得度が増すそうです。
また、社員が職務経歴などを登録することで、その人に適した部署やプロジェクトを勧めてくれるAIを導入している企業もあるようです。
とすれば、コールセンターのオペレーターに限らず、ホワイトカラーの労働者の人事評価にも応用できそうです。人事評価のツールとして利用される目標管理制度の運用において、その社員の経歴や資格を登録し、一方で企業の目標を部署ごとに割り当てれば、一人一人の目標をAIが設定してくれます。そして、目標の達成度も公正に割り出してくれます。従来の目標管理制度では、達成できそうな目標を設定しがちで、また、他の社員との目標の難易度を統一することが容易ではありませんでした。AIの活用により、人事評価の領域で長年課題だった「公正さ」を担保するきっかけとなりそうです。
しかしながら、目標管理制度を運用する上で大事なのは、上司と部下がAIで算出した目標の達成度合いを確認しておしまいではなく、目標達成に向けての取り組みの中で、新たな気付きをお互いに共有するコミュニケーションにあります。AIが人と人とのコミュニケーションにどこまで踏み込めるか注目です。