2025年がスタートしました。
この年末年始は9連休だった方も多かったのではないでしょうか。筆者も少し時間があったので、久しぶりに読書をしました。とはいえ、歴史小説や純文学の類ではなく、あくまでも人事労務に関するハウツー本であり、我ながらこの世界にどっぷりと浸かっている自分自身に少々呆れている次第です。
その本の内容は、若手社員の初期配属や中堅社員の部門異動、管理職や役員への登用など、いわゆる「人事ガチャ」に関するものです。大手企業の人事担当者へのヒアリングを元に、最終的には人事部の在り方について言及した興味深い内容でした。
この本にも記載されていましたが、業種によって特徴はあれど、新卒入社から概ね10年間は育成期間として複数の部門を経験するのが一般的です。その後、30代半ばからは管理職に登用されてマネジメント職に就く人と、それまでの経験を更に深めてスペシャリスト職に向かう人、更には育成期間の延長で異動を繰り返す人の3種類に分類されてくるというものです。これは、「人事制度の構築(29)」にも記載しています複線型人事制度の体系図そのものです。
本人の希望に沿わない職種への配属や、花形事業ではない領域への異動命令、あるいは上役が長年課長の座に滞留している影響で自分が管理職になれないといった、いわゆる「人事ガチャ」は、本人にしてみれば不運なこととして片づけてしまいがちですが、実は「からくり」があるのだということは、人事に精通している人であれば理解していることでしょう。
ある調査では、出世したいと思う人と出世したいと思わない人の割合が逆転するのが42.5歳だそうです。この年齢は、一般的には新たに管理職に登用する際の上限年齢付近であり、管理職になりたいと思っても、現実的には難しいだろうと感じているのが実態なのでしょう。
最後に、人事部の在り方としては、企業の経営戦略実現のため、次世代を担う人材の発掘、育成を目指した人事異動を行うことで、強い人事を作ることにあるとしています。とかく定例的な業務が多い人事部ですが、定例業務に翻弄させられている場合ではなく、人事異動権限という切り札を行使する時なのでしょう。