人事労務の「作法」

企業の人事労務課題を使用者側の立場で解決します

084.「働きがい」って何だろう?

近年、働きがいが見いだせないという理由で、勤続が浅い段階で退職する若者が増えています。では、働きがいとは一体何者なのでしょうか。

若者がイメージするのは、ドラマで登場するような人物が、壁にぶち当たりながらも重要なプロジェクトを成功させる姿なのかもしれません。ところが現実は、上司の指示に従い、同じことの繰り返しで成長が実感できないことへの不安から、働きがいがないと感じるのでしょう。

しかし、このような不安は若者に限らず、シチュエーションは違えども中堅層やベテラン層でも感じているでしょう。

中堅層であれば、初めて管理職に就任し、それまでの営業や開発などの第一線から一歩退き、チームメンバーに対するマネジメント業務が増えたことで働きがいがなくなったと感じることもあります。

また、ベテラン層であれば、役職定年で管理職を退き、それまでチームメンバーを率いて大きなプロジェクトを動かしていたころに比べて働きがいがなくなったと感じることもあります。

このように若手から中堅、ベテランに至るキャリアの中で、働きがいの喪失段階を時系列にまとめると次のようになります。

1.入社前に描いていた姿と現実とのギャップで働きがいの喪失

2.管理職就任で第一線から退くことによる働きがいの喪失

3.役職定年でチーム運営から退くことによる働きがいの喪失

ところで、ここで見逃してはいけないことは、1と2の間には、仕事に慣れ上司から任される仕事も増えることで働きがいを実感している段階があるということと、2と3の間には、一人では限界があることがチームを率いて大きな仕事を成し遂げることで働きがいを実感している段階があるということです。

しかし、働きがいとは会社や上司が与えてくれるものではなく、置かれた環境の中で自分自身がどのように思考して行動するかによって得られるものが違います。壁にぶち当たった時こそが、働きがいを実感するための次のステップだと考えることです。上の例で、1で限界を感じて退職する人は、1と2の間の働きがいを実感することはできません。同様に2で退職する人は、2と3の間の働きがいを実感することはできないのです。

働きがいとは、一人ひとりの心の中にある意欲や向上心が形を変えて湧き上がってくるものだと思います。

 

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