今回は職能給テーブルの設定の仕方について考えます。
職能給テーブルのサンプルは、「人事制度の構築(22)」で示しましたが、具体的には以下のような手順でテーブルを設定しましょう。
先ず、等級の段階を何段階とするかですが、過去に等級制度について解説した通り、一般社員層においては5段階程度が妥当です。段階が多すぎると、前後の段階の職能要件の違いが曖昧となり、昇格の判定に社員の不満が出るでしょう。逆に段階が少なすぎると、前後の段階で職能要件が大きく違い、昇格に長い年月がかかるイメージを与えることになります。
次に、テーブルのスタート金額(1等級1号俸)をいくらに設定するかは、初任給が関係します。例えば高卒者の初任号俸は1等級の1号俸から、短大卒は3号俸から、大卒は5号俸からと位置付ければ、近年の新卒者の初任給平均である、高卒190,000円、短大卒210,000円、大卒230,000円となるように職能給を設定します。ここで、「人事制度の構築(23)」で示した通り、基本給のうち160,000円を基礎生活給として予め確保しますので、職能給は残りの金額となります。つまり、高卒は1号俸30,000円、短大卒は3号俸50,000円、大卒は5号俸70,000円となります。
この例では、1等級における号俸間の金額差を10,000円とし、高卒者は勤続2年で短大卒に追いつき、更に2年後には大卒に追いつく設定としていますが、学歴差による基本給金額に独自の思想を設ける場合は、それに応じて職能給テーブルでの初任号俸の位置づけを変えることで対応します。例えば、号俸間の金額差を5,000円に設定し、高卒は1号俸30,000円、短大卒は5号俸50,000円、大卒は9号俸70,000円というように。この場合、高学歴者ほど有利な金額設定になります。
ここで注意することは、同等級において号俸間の金額差は一定にしておくことです。上の例では、金額差が10,000円と5,000円のケースを示しています。
また、1等級の職能要件は通常は初歩的な要件となりますので、大卒後2~3年後(25歳程度)には2等級に昇格する前提でテーブルを設定しましょう。
次回も職能給テーブルの設定について解説します。