人事労務の「作法」

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074.人事制度の構築(22) 基本給のベースは職能給

今回は月例給与の内の基本給部分について解説します。
前回、基本給は等級制度や評価制度など他の人事制度との整合を図って組み立てるべきものであることを説明しました。このブログでは、筆者の見解として一般社員は等級制度において職能等級制度が適していることを論じてきましたので、基本給は「職能給」がベースとなります。
職能給とは、職務遂行能力を賃金に紐づけたものです。ただし、能力を金額に置き換えることは不可能ですので、人事評価を介して職能給テーブルに当てはめて金額を決定します。その際、〇等級の〇号俸といった具合に職能給テーブルでの位置を示すのが一般的です。
職能等級制度においては、能力は勤続、経験によって、個人差があるものの毎年伸び続けるものであるという考えの上に成り立っています。つまり、等級の段階ごとに号俸の段階を設け、同じ等級の中で号俸を上がっていくことが基本です。このことを「昇給」と言います。昇給の際にどれだけ昇給するか(1号俸上がるか、2号俸上がるか等)を決定する仕組みが人事評価です。
また、等級ごとに定める職能要件を満たすと、次の等級に移ります。このことは「昇格」と言います。昇格するかどうかも人事評価で決定します。昇格すると新しい等級のなかで昇給を繰り返します。
この一連の流れを職能給テーブルの例で示したのが下の表です。

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金額は仮設定ですので、1等級の1号俸を100,000円からスタートし、1号俸上がるごとに2,000円昇給するように仮に設定しています。また、各等級の最高号俸の金額と一つ上の等級の最低号俸の金額は一致させています。この理由は別の機会に説明します。
等級を何段階に分けるか、等級ごとの号俸を何号俸まで設けるか、各号俸の金額はいくらに設定するか、号俸間の金額差はいくらに設定するか、等は各企業の実情に合わせて決定することになりますが、詳しくは次回以降に改めて説明します。
職能給は一般社員の基本給の最重要な部分を占めますが、基本給を職能給だけで構成するには不都合なこともあります。仕事給である職能給に加え、年齢や勤続に基づく属人給の部分も一定程度設けるのが良いでしょう。そのあたりも改めて解説します。

 

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