人事労務の「作法」

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073.「マズローの欲求5段階説」をマネジメントに活かす方法

マズローの欲求5段階説」とは、 アメリカの心理学者アブラハム・マズローが提唱したモチベーション理論です。
マズローによると、人間の欲求には低次のものから順に、「生理的欲求」、「安全の欲求」、「社会的欲求」、「承認欲求」、「自己実現欲求」の5段階があり、低次の欲求が満たされるとより高次な次の欲求が現れるとされています。この理論をマネジメントに活かすことで、強いチームを築くことができます。


マネジメントの基礎は、先ず生理的欲求から社会的欲求までの下の3段階を満たすことです。
一般的な企業では、生理的欲求と安全の欲求は満たされているでしょう。ただし、ハラスメントや低賃金、違法な長時間労働が常態化すると安全の欲求は満たされなくなります。
また、社会的欲求を満たすには、安心して所属できる組織の存在が不可欠です。この点については、Google社が「効率的なチームの条件」として、「心理的安全性」をその条件の一つに挙げています。 心理的安全性とは、ハーバード大学エドモンドソン教授による定義で、「対人関係でリスクのある行動をとっても、チームが安全な場所であるという思いが、メンバーの中で共有された状態」とされています。楽しく和気藹々とした「ぬるま湯組織」のことをいうのではなく、自分らしく周りの人に接することができ、相手と意見が違ったら、組織の目指す方向の範囲ではっきりと自分の考えを伝えることができる関係性のことを指します。

次に、マネジメントの本領は、承認欲求から自己実現欲求を満たすことにあります。

マネージャーはチームメンバーの仕事内容や成果、意欲等を理解し、公正に評価して、信頼関係を築くことから始めます。意思決定の機会を与えたり、一段階上の仕事を与えることで承認欲求を喚起します。更にメンバーの将来ビジョンを明確にさせ、その過程での課題を一緒に解決する約束をすることで自己実現欲求に応えます。

このような一連の流れは、目標管理制度の運用そのものです。強いチームを築くのに特別な手法を用意するのではなく、目標管理制度を適切に運用することが重要なのです。

 

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