人事労務の「作法」

企業の人事労務課題を使用者側の立場で解決します

068.内定辞退に備えましょう

2025年春卒業の学生の就職内定率は8割を超えているようです。企業としては、採用活動が終了し、一息付いているところかもしれません。ただし、10月1日の内定式までのこの時期は、内定辞退に備えておく必要があります。

学生が内定辞退する主な理由は以下のようなところです。

1.給与や休日などの待遇面が希望に満たない

2.社風や職務内容が自分に合わない

3.より志望度の高い企業から内定を得た

4.進学や家庭の事情で就職を取りやめた

このような理由が真実の場合もありますが、単に言い訳として当たり障りのない理由を挙げてくる事もあります。理由が真実かどうかは別にして、せっかくコストを掛けて採用するわけですので、辞退者が出ないように、或いは辞退者が最少となるように備えておきましょう。

上記理由のうち1と2については、受け入れるかどうかは学生側の問題であり、会社が条件を変えることはできません。ただ、このようなミスマッチが起きないように、事前に充分に説明しておく必要があります。例えば、給与面で他社に劣っている事が分かっていれば、それを補うメリットを強調しておくのです。このとき、他社の悪い点を挙げて自社の優位性を高めるというやり方は御法度です。

3の理由についても対応は同じで、事前に自社の強みを説明しておく事でしょう。ただ、3の理由を挙げてくる学生は、企業研究が進んでいることが多く、優秀であるともいえます。将来、自社に転職してくる可能性も考慮し、丁寧に対応しておきましょう。

また、4の理由についてはどうしようもないですが、優秀な学生であれば、再度就職しようとする際には自社を選んでもらえるように、接点を持っておくのも良いでしょう。

その上でいずれの場合も、内定時には入社承諾書を入手しておきましょう。入社承諾書には法的拘束力は無いですが、少なくとも心理的には拘束力を発揮します。仮に内定辞退を受け入れたなら、入社承諾書を返却することを忘れないで下さい。

また、内定者をつなぎ留めるために、若手社員との懇談の機会を積極的に設け、同世代の視点で働き甲斐について語らせましょう。いくら優秀な学生が企業研究を行っても、その企業で実際に働いている社員の視点には及びません。学生には実社会での生の声が一番響くのです。

 

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