突然、出社しなくなる社員がいます。
とはいえ、コロナ前と違い在宅勤務が当たり前になっていますので、出社しないことが問題ではなく、連絡がないまま欠勤を続けることが問題なのです。直属の上司や親しい同僚などから連絡しても応答がありません。
杓子定規に対応すると、就業規則に定める「14日を超えて無断欠勤したとき」に該当し、懲戒解雇となってもおかしくないのですが、ここは慎重に対応したほうが良いでしょう。
考えられる理由の一つとしては、本人の病気や怪我です。症状が重篤で集中治療室に入っている可能性があります。或いは事件に巻き込まれたのかも知れません。
このようなときは、先ずは状況確認を行いましょう。連絡がない状態が続けば、自宅の様子を見に行きます。呼び出しベルを鳴らしても応答がないことが普通ですが、灯りがついているかとか、エアコンの室外機が動いているかとかを観察して、名刺にメモ書きをして郵便受けに投函しておきます。本人に会えなくても、心配して自宅を訪問したという事実が重要なのです。
その上で、022の記事に書いたように身元保証人に連絡するのが有効です。身元保証人が状況を把握していなければ、重篤な症状や事件の可能性はほぼ消えます。身元保証人に事情を伝える際には自宅を訪問した時の様子を説明しましょう。
その後、身元保証人の協力によって、ようやく本人から連絡が入ります。聞くと仕事上のストレスが極限まで達し、何もできない状態で部屋に閉じこもっていたようです。状況が判明すれば、再度身元保証人に連絡し、専門医を受診するように勧めてもらいます。あとは休職の手続きを行い、回復を待ちます。
この通りの流れになるとは限りませんが、急に出社できなくなる背景にはメンタル不調が潜んでいることが多いでしょう。この時、ストレスの原因が職場内の問題であったとしても、会社側が丁寧に対応する事で本人や身元保証人の理解が得られ易くなります。無断欠勤が続いたからと言って状況を把握しないで解雇してしまうと、後にストレスの原因は職場内のハラスメントにあると言って解雇無効を訴えてくるかも知れません。
メンタル不調の事案が疑われた時は、慎重な対応が必要です。