人事労務の「作法」

企業の人事労務課題を使用者側の立場で解決します

066.インターン学生の受入について思うこと

夏のインターン学生の申込受付が始まっています。

近年、業界に関係なく就職を控える学生に対し、インターンシップとして職業体験の機会を提供する企業が増えています。学生側からみても、インターンシップを体験することは就職活動の重要なプロセスとして定着しています。

従来、企業側からみたインターンシップの目的は、職業体験を通して働くことの意義を体感してもらうことにあり、買い手市場の時代においては一種の社会貢献でした。学生はお客さん扱いで、社員がマンツーマンで実務だけでなく職業観も含めてレクチャーを行っていました。

ところが、労働力不足が顕在化している売り手市場の現在では、インターン学生を社員として採用するための選考の最初のステップとして位置づけ、優秀な学生の見極めや囲い込みが主な目的に変わってきました。学生には一定の課題を与え、その出来栄えを社員が評価するスタイルで、学生はお客さんというよりはメンバーの一員として接することが多くなりました。優秀な学生には個別にアプローチし、採用を前提に上司に会わせるなど次のステップに進みます。

そのあたりは学生側も当然わきまえていて、まずインターン学生として受け入れてもらえるかどうかで就職先の候補企業かどうかを判断します。人気企業の場合、希望者が多く選考になるケースでは、選考から漏れてしまえば就職候補企業から除外してしまうこともあります。就職先はインターンシップに参加した企業の中から選ぶ傾向があるようです。これはある意味自らの可能性を狭めていることになり、もったいない話です。049の記事にも記載しましたが、学生には十分な企業研究を行って就職先を決めてほしいものです。各企業とも、インターンシップだけでは判別できない姿を持っているはずですから。

企業においては、他社との優位性を確保するために積極的にインターン学生を受け入れ、優秀な学生の見極めと囲い込みに走る現在の風潮には逆らえないにしても、数日間の職業体験だけで採用候補者を絞り込むような判断はせず、従来のインターンシップの目的である社会貢献を意識し、若者の健全な育成に寄与してほしいものです。

 

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