人事労務の「作法」

企業の人事労務課題を使用者側の立場で解決します

2024-01-01から1年間の記事一覧

091.2回目の年末

当ブログ開設後、2回目の年末を迎えます。 筆者は毎年年末に1年の反省を行い、翌年の目標を立てていることを昨年の今頃の記事に記載しました。振り返ってみてみると、今年はブログを進化発展させると書いてあります。果たして進化発展できたかどうか? 少…

090.人事制度の構築(29) 管理職層の月例給与の構成

前回までは、一般社員層の月例給与の構成について解説してきました。今回は、管理職層の月例給与について考えます。 複線型人事制度を展開するうえでの体系図は、下の通り管理職層を「マネジメント職」と「スペシャリスト職」に分けて運用します。 マネジメ…

089.定年再雇用か定年延長か

ある大手都市銀行では、定年再雇用者の賃金を最大4割上げ、年収1000万円も可能とする制度を導入するという新聞報道がありました。この銀行では元々定年は60歳であり、今回は定年年齢は変更せず、1年ごとの再雇用契約を締結する際に評価に応じて処遇を決定す…

088.「106万円の壁」撤廃は負担が増えるだけではありません

103万円の壁の引き上げが国会で駆け引きされている中、一足早く106万円の壁の撤廃が決まりそうです。 106万円の壁とは、085の記事で紹介した通り、社会保険に関する壁で、従業員51人以上の企業で週20時間以上働く労働者が健康保険や厚生年金に加入することに…

087.人事制度の構築(28) 職能等級昇格のルール

前回は、同一職能等級内での昇給のルールについて説明しました。今回は、上位の職能等級への昇格のルールについて考えます。 職能等級制度における昇格基準は、一般的には「卒業方式」と「入学方式」があります。卒業方式とは、現在の職能等級で要求される職…

086.ストレスチェック制度を有効に活用しましょう

労働安全衛生法改正により、労働者50人以上の事業所に対し、2015年12月より1年以内ごとに毎年ストレスチェックの実施が義務付けられています。義務化以降10年近く実施するうちに、各企業においては毎年の定例行事と化し、その結果が有効活用されていない可能…

085.「年収の壁」は103万円だけではありません

「年収の壁」が注目されています。 政府で審議しているのは103万円の壁で、給与所得者本人に所得税が課せられる基準のことを言います。給与所得者には給与所得控除55万円と基礎控除48万円が適用されるため、年収103万円までは全額控除されるため、所得税は非…

084.「働きがい」って何だろう?

近年、働きがいが見いだせないという理由で、勤続が浅い段階で退職する若者が増えています。では、働きがいとは一体何者なのでしょうか。 若者がイメージするのは、ドラマで登場するような人物が、壁にぶち当たりながらも重要なプロジェクトを成功させる姿な…

083.人事制度の構築(27) 職能給昇給のルール

前回までに、基本給の構成は基礎生活給と職能給に分け、基礎生活給は全社員一律の金額とし、職能給部分だけ人事評価によって昇給(場合により降給)させるということを説明しました。 そこで今回は、職能給を昇給させるルールについて説明します。 職能給の…

082.人事制度の構築(26) 職能給テーブルは「接続型」

今回は「人事制度の構築(25)」に引き続き、職能給テーブルの設定手順について解説します。 職能給テーブルを設定する際には、同一等級の中で号俸に応じて賃金レンジを設けた「レンジ方式」のテーブルとすることが一般的です。賃金レンジとは職能給の下限額…

081.大課長問題は「ピーターの法則」で回避を

前回、大課長問題には「ピーターの法則」が有効であることを述べました。そこで今回は、ピーターの法則について考えます。 皆さんの会社の中で、次のような事象に心当たりはありませんか。 営業成績が優秀な営業課長のAさんが営業部長に昇進し、部全体の営…

080.組織にはびこる「大課長」問題

最近、多くの企業で「大課長」問題が発生しているようです。 大課長問題とは、部長や本部長が課長と同じような仕事をしていることを指します。課長の仕事といえば、短期の業績や成果を向上させることに注力し、そのために課内で先頭に立って、メンバーに具体…

079.人事制度の構築(25) 職能給テーブルの設定

今回は職能給テーブルの設定の仕方について考えます。 職能給テーブルのサンプルは、「人事制度の構築(22)」で示しましたが、具体的には以下のような手順でテーブルを設定しましょう。 先ず、等級の段階を何段階とするかですが、過去に等級制度について解…

078.「ブレジャー」導入は慎重に

新しい働き方、また余暇の過ごし方として、「ブレジャー」が注目されています。 ブレジャー(Bleisure)とは、仕事(Business)と余暇(Leisure)を組み合わせた造語で、「出張等の機会を活用し、出張先等で滞在を延長するなどして余暇を楽しむこと」と観光…

077.人事制度の構築(24) 諸手当は最低限に

今回は月例給与のうち、基本給以外の諸手当について考えます。 諸手当は、時間外労働手当や休日労働手当などの法律で支払いが義務付けられたもの以外は、企業が独自に支給の有無を決定できます。それだけに、それぞれの企業の思想が反映されやすい部分ですが…

076.解雇規制緩和は実現するか

自民党の総裁選が注目を浴びています。 今回の総裁選において重要な論戦テーマの一つに、「解雇規制緩和」があります。解雇規制とは、労働契約法第16条で「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用し…

075.人事制度の構築(23) 基本給は2階建に

今回も基本給の構成について解説します。 基本給は職能給が中心であることは間違いないところです。ただし、基本給を職能給一本で構成すると不都合な事もあります。 仕事給である職能給に加え、属人給的な部分も一定程度設けるのが良いという事までは前回記…

074.人事制度の構築(22) 基本給のベースは職能給

今回は月例給与の内の基本給部分について解説します。前回、基本給は等級制度や評価制度など他の人事制度との整合を図って組み立てるべきものであることを説明しました。このブログでは、筆者の見解として一般社員は等級制度において職能等級制度が適してい…

073.「マズローの欲求5段階説」をマネジメントに活かす方法

「マズローの欲求5段階説」とは、 アメリカの心理学者アブラハム・マズローが提唱したモチベーション理論です。マズローによると、人間の欲求には低次のものから順に、「生理的欲求」、「安全の欲求」、「社会的欲求」、「承認欲求」、「自己実現欲求」の5…

072.人事労務業務に役立つ資格

8月25日に今年度の社会保険労務士試験が実施されます。この日に向けて勉強を重ねてきた方のご検討をお祈りしています。 人事労務に従事するビジネスパーソンにとって、社会保険労務士試験は一つの目標であると思いますが、実は社会保険労務士以外にも、筆者…

071.休日と休暇の違いを理解しましょう

日本企業の慣行として、8月のお盆の時期に「夏休み」を設けることが一般的です。ただし、休みの設定の仕方によって、同じ時間働いても賃金に差が出ることがあります。それには、「休日」と「休暇」の違いを正しく理解する必要があります。 休日とは労働の義…

070.人事制度の構築(21) 月例給与の構成

今回からは賃金制度の組み立てについて詳しく述べていきます。 賃金制度を構成する賃金とは、名称を問わず労働の対償として事業主が労働者に支払う全てのものをいい、一般的には月例給与、賞与、退職金を指します。このうち、先ずは月例給与について考えます…

069.人事制度の構築(20) 賃金制度の概要

人事制度を構成する三つの要素のうち、等級制度と評価制度についてはすでに見解を示してきました。今回からは三つ目の要素である賃金制度について考察します。賃金制度とは、企業が賃金をどのような思想や基準で社員に支払うかを体系立てたものです。賃金制…

068.内定辞退に備えましょう

2025年春卒業の学生の就職内定率は8割を超えているようです。企業としては、採用活動が終了し、一息付いているところかもしれません。ただし、10月1日の内定式までのこの時期は、内定辞退に備えておく必要があります。 学生が内定辞退する主な理由は以下のよ…

067.突然出社しなくなる社員への対応

突然、出社しなくなる社員がいます。 とはいえ、コロナ前と違い在宅勤務が当たり前になっていますので、出社しないことが問題ではなく、連絡がないまま欠勤を続けることが問題なのです。直属の上司や親しい同僚などから連絡しても応答がありません。 杓子定…

066.インターン学生の受入について思うこと

夏のインターン学生の申込受付が始まっています。 近年、業界に関係なく就職を控える学生に対し、インターンシップとして職業体験の機会を提供する企業が増えています。学生側からみても、インターンシップを体験することは就職活動の重要なプロセスとして定…

065.試用期間満了後の本採用ルールを明確に

4月入社の新卒社員の試用期間が満了する頃ではないでしょうか。試用期間とは、応募書類や面接では見極めきれなかった社員の適性や能力を、一定期間働いてもらったうえで本採用するかどうかを判断するための期間です。 試用期間についての法的な制限はありま…

064.人事制度の構築(19) 評価要素を評価につなげる

前回までに評価制度において用いる評価要素は、「能力」、「行動」、「成果」、「情意」であることと、それぞれの要素の内容について述べてきました。今回は、これらの評価要素を具体的に評価につなげる手順について解説します。 繰り返しになりますが、 人…

063.年金額を増やすポイントは人事制度にあり

偶数月の15日は、2ヶ月に一度の年金支給日です。年金の支給は前月分と前々月分ですので、今回は2024年の4月分と5月分です。 年金額は賃金や物価の変動率に応じて、毎年4月に年金の給付水準を調整する「マクロ経済スライド」という仕組みを導入しています。こ…

062.定額減税が実施されます

昨今の物価上昇に対する経済政策として、6月から「定額減税」が実施されます。今回の制度は複雑で分かりにくいという声が聞かれますが、通常の給与所得者の方は、特に何も手続きは必要ありませんので、会社が行う減税処理に任せて、制度の狙いである経済の循…

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