企業の人事部を舞台にしたTVドラマが放映されています。
ストーリーの展開はさておき、日頃人事部に起きうる事象を取り上げた内容であり、人事の業務を理解した人が制作に係わっていることがわかります。ただし、ドラマでは主人公の仕事ぶりにフォーカスされますが、実際には人事部の業務は幅広く、ドラマでは取り上げられないような業務が多々あります。
人事部の業務を機能別に分類する場合、企業規模にもよりますが、一般的には人事部内で「人事」と「労務」に分けて「課」や「グループ」を設けることが多いでしょう。
人事課あるいは人事グループの業務としては、次のようなものがあります。
1.人材採用(採用計画立案、会社説明会、採用選考)
2.教育研修(研修プログラム立案、階層別研修実施)
3.人事異動(配置、異動、昇格、昇進等異動案立案、人材登用)
4.人事制度(人事制度構築、人事評価実施)
一方、労務課あるいは労務グループの業務としては、次のようなものです。
5.給与厚生(給与、賞与、退職金、社会保険、福利厚生施策等)
7.安全衛生管理(労働環境改善、健康管理施策等)
人事の業務が一人一人の社員個別に対応することが多い業務であるのに対し、労務の業務は個人ごとに対応を変えるのではなく、社員全体あるいは職能や等級ごとの一定の範囲に対し均等に対応する業務が多いことが特徴です。
その意味では、人事労務に従事する人には、人を見る目も大事ですが、真実を見抜き公正に対処する力も要求されます。
昭和から平成、令和にかけて、働き方が大きく変化する中、人事部の役割も変化しています。昭和の時代は24時間働ける企業戦士の育成に企業も労働者も違和感なく邁進していたものを、平成になって働きすぎによる過労死問題が顕在化し、それに対応できない企業はブラック企業のレッテルを貼られています。令和の今、AIの進化に人事部がついていけるかが今後の課題です。
とは言え、どんなにAIが進化しても、人が中心の働き方をドラマで演じてくれると筆者としてはホッとします。
筆者も長年の人事労務の経験を元に、ドラマの脚本のようなものを書いてみようかなと思ったりもします。タイトルは『「こちら人事部」24時』。昭和の匂いがプンプンしますかね。