〔第2章採用・異動等〕のうち、第1節採用について前回の続きです。
今回は採用に関して一番トラブルとなりがちな試用期間の規定について解説します。試用期間とは応募書類や面接などでは見極めきれなかった適性や能力を、一定期間働いてもらって本採用するかどうかを判断するための期間です。
試用期間中は「解雇権留保付労働契約」を締結した状態で、本採用拒否は通常の解雇よりも広い範囲において認められていますが、社会通念上相当な理由が無ければ解雇権の濫用とみなされて、本採用拒否は無効となります。それだけに、規定の定め方については注意が必要です。
第〇条(試用期間)
社員として採用した者は、採用した日から〇ヶ月間を試用期間とする。
2 第1項に関わらず、当該社員の能力、経験等が優れていると会社が認めた者については、試用期間を短縮又は免除することがある。
3 第1項の期間中に、当該社員の適性を判断することが困難な場合、第1項の期間を通算して〇ヶ月間まで試用期間を延長することができる。
4 試用期間は、勤続年数に加算する。
第1項については、期間が短すぎると本採用の可否を判断するのに十分でなく、逆に長すぎると合理性を欠きますので、一般的には3ヶ月~6ヶ月間くらいが適切でしょう。
第2項では、採用時に間違いなく優秀であると判断できる者については、他社に先駆けて入社の意思表示を得るために、試用期間の短縮や免除の措置を設けておきましょう。ただし、一定の基準は必要で、採用選考時のチェックリストで一定の点数以上とか、一定のランク以上とかの基準を確認しておくと良いでしょう。
第3項では、試用期間中に本採用の可否を判断する事象が不足したような場合、例えば営業職などで担当する取引先の倒産などの不可抗力があり、思ったような成果が得られなかった場合などに備え、試用期間を延長できる項目も設けておきましょう。
このような例の他、一番憂慮すべきなのは体調不良の兆候があった場合です。特に精神的な不調は短期間で現れるとは限らず、試用期間が満了して本採用した後に顕在化することもあります。試用期間中に気になる兆候などがあれば、事情を確認し、必要に応じて専門医の受診を促すとともに試用期間を延長して様子を見て、専門医や産業医の意見を参考に本採用の可否を判断する場面が出てくることもあります。ただし、延長できる期間は通常の試用期間を含めて6ヶ月~1年間が限度でしょう。
次回は試用期間中、あるいは試用期間満了後に本採用を取り消す際の規定について解説します。